Jeff Gillette
1959年、アメリカ・ミシガン州デトロイトに生まれ。高校卒業後、デトロイトの美術学校に通っていましたが、程なく冒険心が湧き上がり、平和部隊の隊員として2年間ネパールで過ごすことになりる。その間インドのメガロポリスやスラム街を探検し、見捨てられたように見えるその場所でも生活を営むことができ、幸せは増殖するものなのだという事実に魅了された。隊員としての活動を終えてからは、毎年制作活動へのインスピレーションを得るために、北アフリカ、東南アジア、メキシコ、バングラデッシュなど、地球上で最も悲惨な場所と言われるところばかりを旅する。スラム街での苦しみ、不公平さ、残酷さの中に奇妙な美しさを見出し、ゴミの海のような不潔な瓦礫の上の、必要にかられ工夫を凝らして建てられた住居を見るにつけ、その生活環境を体験することは色、形、質感のスペクタクルであり、かつ美的な驚きのひとつとなり、それらのイメージを作中に再現している。
子どもの頃ディズニーのテレビ番組に憧れを抱いていたものの、大人になって初めてディズニーランドを訪れた際、人工物で溢れかえる楽園の不自然さに幻滅したというジレットは、第三世界の荒地にディズニーのアトラクションやキャラクターを描いたシリーズ「Dismayland」を制作。これは2015年にバンクシーが企画したプロジェクト「Dismaland」のイベント全体のインスピレーションになった。
イギリスのゲリラ・アーティスト、バンクシーが2015年に自身の本拠地ブリストル近郊に5週間の期間限定でオープンさせたディズマランド(Dismaland)。
世界中の有名無名のロウブロウ・アーティスト50人に呼びかけ創った、主にディズニー・テーマの現代アート作品を、2.5エーカーの広大な敷地に展示した(悪)夢のような屋外美術館。
会期が終わるとディズマランドの設備や資材などはフランスやカレの難民キャンプに寄付されたバンクシーらしい壮大なイベント。
実は、ディズマランドにはディズメイランド(Dismayland=狼狽える+ランド)という元ネタがありました。
毎晩、ディズニーランドから花火が上がる音が聞こえてくるというアナハイムの近所に住み、1994年からミッキーマウスやドナルドダックをスラムの中に描いてきた画家、ジェフ・ジレット。
そんな彼の一連の作品シリーズ名がディズメイランドで、バンクシーに多大なインスピレーションをあたえたといわれています。
ジレットはディズマランドにバンクシーからキー・アーティストとして招聘され、ジレットの作品を元にしたインスタレーションが創られたり、スーベニア・ショップではジレット描き下ろしのポスター(上の画像)が売られたりもしました。